静岡・浜松で地元の人々に愛される魚屋「サンフィッシュ木野」。新鮮な地魚を扱うこの店が、冷凍技術アートロックフリーザーを導入し、新しいステージに踏み出しました。店頭の人気商品「マグロメンチ」を皮切りに、冷凍の可能性を追求。地域の魚の魅力をより広く、よりおいしく届けようとする挑戦について、店主の木野伸哉様にお話をお聞きしました。
ーーーアートロックフリーザー導入のきっかけは何だったのでしょうか
以前から構想していたまぐろメンチカツの商品化が始まりでした。脂がのったマグロを使うので、冷凍しないと溶けて形が崩れてしまいます。だから冷凍工程は必須だったんです。しかし従来の冷凍方法では凍結に時間がかかりすぎて、製造に2日も必要でした。オペレーションに難航しながらも、まぐろメンチは地元客に人気で、ありがたいことに店頭だけでなく百貨店や地元スーパーから大規模な卸のお話もいただきました。しかし、当時の製造体制では生産が追いつかず、せっかくの機会を見送るしかない──。そんなときに出会ったのがアートロックフリーザーです。展示会で偶然見かけたこの冷凍機が、現状を打破する鍵になりました。


ーーーアートロックフリーザー導入後、どのような冷凍事業を展開されているのですか
導入してまず驚いたのは、凍結スピードの速さ。芯まで一気に凍るので、まぐろメンチカツの形が崩れず、酸化することもなく色も美しいまま。作りたての見た目・味が再現できます。品質の高さが認められ、百貨店や地元スーパーからの引き合いも増えてきました。
提携先へ卸す商品は、店舗の加工場で衣をつけるところまで製造してアートロックフリーザーで凍結。それを卸先のセントラルキッチンで揚げて、各店舗に輸送して販売してもらっています。惣菜売り場で常温販売しているものと、揚げたあとに再冷凍して冷凍品として販売しているものがあります。まぐろメンチからはじまり、今はアジフライなど取り扱い商品のラインナップも増えました。店舗営業もしながら少人数で製造していますが、手が空いた時間にまとめて計画調理してストックできるので、製造効率も以前よりもはるかに向上しています。


まぐろメンチは卸先のお客様から「おいしい」と評価いただいているようで、今後取り扱い店舗が増える予定です。アートロックフリーザーの冷凍技術が、これまで地域内にとどまっていた魚屋の味を、遠くの街まで運ぶ力になっています。
冷凍は保存するだけではなく、おいしさも引き出してくれます。例えば白身魚は凍らせると旨みが増し
ますし、ゆでタコは柔らかくなる。中トロもまとめて仕入れて冷凍保存すれば、品質そのままで無駄なく提供できる。白子なんかは、旬のものを冷凍しておけば、真夏に冬の味覚を楽しめます。鮮度維持はもちろん、季節の枠を越えた商品展開や、仕込み時間の短縮、食品ロスの削減など、冷凍技術に期待できる効果はまだまだ計り知れません。


ーーー今後の展望について教えてください。
次は漬け魚の冷凍にも挑戦したいと思っています。生と変わらないクオリティを目指して、商品開発を進めていきたいです。冷凍品を取り扱ってもらえる販売先もどんどん増やしていきたいですね。理想は、店頭販売と卸の売上を半々にすること。人手不足の課題もあるので、省人化という意味でもアートロックフリーザーには期待しています。

自分たちが目利きして仕入れる地元の魚の魅力を、そのままの鮮度や味でお届けすることが、魚屋の役割です。冷凍というと保存のイメージが強いかもしれませんが、アートロックフリーザーの技術を使えば、むしろ魚の価値を高められ、届けられる距離が広がります。今までなら売れ残ると処理していたものも、今はおいしさをキープしたままストックできる。旬の魚も、いちばん良い状態のまま、必要なときに届けられる。そんな技術を活かして、地域の方々や、地域の未来を育てていく子どもたちにも、「魚ってこんなに美味しいんだ」と思ってもらえる体験を届けたいと思っています。例えば、忙しいお母さんやお父さんが、冷凍庫から取り出してサッと調理できて、それでいて本格的なおいしさが味わえる──そんな魚のおかずが、家庭の食卓に自然と並ぶようになれば、子どもたちにとって魚はもっと身近な存在になるはずです。
冷凍を味方に、地域の食卓を支え、次の世代にもこの地域の魚の魅力を伝えていきたい。そんな思いで、これからも挑戦を続けていきます。

サンフィッシュ木野
店主:木野伸哉
場所:静岡県浜松市
事業内容:鮮魚・魚料理の製造・販売
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富山県朝日町の港町で、漁師として第二の人生を歩む「聖徳丸」代表徳田聖一郎氏。元会社員から漁師へ転身し、漁獲・加工・販売まで手掛けています。昨年アートロックフリーザーを導入し、従来は生やボイル中心だったカニ販売を、品質を保 […]