2026.05.11 導入事例

繁忙期の残業削減と欠品解消へ。嶋田ハムが実現した、計画生産と高品質を両立する冷凍活用による新しい製造体制

薪火による本格的なスモーク製法で、こだわりの生ハム・ソーセージをつくる株式会社嶋田ハム。同社はアートロックフリーザーを導入することで、繁忙期に受注が集中して現場への負荷が急激に高まっていた状態を改善し、人件費の削減を実現。品質を維持したまま冷凍ストックを活用し、製造オペレーションを大きく進化させました。冷凍技術の導入背景から具体的な活用方法、現場にもたらした変化について、代表取締役の花澤直樹様にお話を伺いました。

「素材の力」を引き出す、薪火スモーク製法

ーーーー事業内容について教えてください。

ソーセージや生ハムなどの肉製品を市販用に製造しています。特徴は、薪の直火で長時間スモークしている製法と、できるだけ添加物を使わないこと。デンプンのつなぎや、増量のために使われる大豆タンパクなどは使用せず、素材そのものの肉質を重視しています。販売先は量販店への卸が7割ほどで、工場に隣接する直販店での販売やEC販売も行っています。

ソーセージを薪の直火でスモークする様子

繁忙期の負荷を平準化するための冷凍導入

ーーーーアートロックフリーザー導入の背景を教えてください。

導入したのは3年ほど前、目的は生産負荷の平準化と残業削減でした。お中元やお歳暮の時期は、受注と生産が一気に増えます。そこで、事前に冷凍できるものを作り込んでおき、繁忙期には手間のかかる製造を極力減らす体制を作りたいと考えました。銀行からの紹介もあり、液体凍結やCAS凍結など様々な急速冷凍機を比較。その中で、品質・操作性・設置スペース・コストを総合的に判断し、アートロックフリーザーを選びました。

商品特性に合わせた柔軟な冷凍活用

ーーーー現在はどのように活用されていますか。

量販店に卸すベーコンや生ハムのスライス品は、あらかじめ製造して急速冷凍し、解凍後にラベルを貼って出荷しています。生ハムやベーコンはボイル工程がなく乾燥させる製品なので、冷凍との相性が良く、アートロックを使うことでより良い品質でお届けできます。一方でソーセージは、ボイル工程があるためドリップの懸念があります。そのため、少量生産品については腸詰め前の具材を平らにして袋詰めし、冷凍ストック。繁忙期にはそれを解凍して使用します。一部は完成品の冷凍出荷も行っていますが、効率と品質のバランスを考え、基本は具材の冷凍が中心です。また、自社EC向けの商品として、ローストビーフや煮込みハンバーグの製造にも活用しています。

ベーコンを冷凍する様子

ーーーー品質維持のために意識されていることはありますか。

冷凍機のスペックを守ることが品質維持に繋がるため、当社では1回(1時間)10kgを厳守しています。効率を考えると多く載せたくなりますが、過積載は品質低下につながります。トレーに薄く並べ、10kg以内・1時間運転を徹底し、タイマーで管理。稼働は週3〜4日程度で、スライス品は1時間、厚みのあるローストビーフや温かいハンバーグは量を抑えて同じく1時間程度の運用です。このルールを守ることで、生に遜色ない品質で凍結・解凍ができています。

残業削減と欠品解消、両面で成果

ーーーー導入前後でどのような変化がありましたか。

計画的に冷凍ストックを持てるようになったことで、人件費削減と欠品リスクの解消、両方で成果が出ています。繁忙期の残業は、これまで1日2時間だったものが1時間に短縮されました。約10名体制で月20日稼働なので、月あたり200時間、時給換算で(仮に時給1000円に設定した場合)1回の繁忙期あたり約20万円の削減です。また、作業負担が軽減され、働きやすい環境づくりにもつながりました。

さらに、ソーセージの具材を練る工程は基本的に私が担当しているため、以前は不在時の欠品リスクがありました。しかし今は、冷凍ストックした具材を解凍して製造できるようになり、精神的な余裕も生まれています。

ソーセージ製造の様子

製造現場に定着した新しいオペレーション

ーーーー製造オペレーションについて教えてください。

朝5時頃に練り作業が完了し、従業員が出勤する8時〜10時に腸詰めを行います。その後、作業が落ち着いたタイミングで清掃班と冷凍準備班に分かれ、具材や生ハム・ベーコンを順次冷凍していきます。ベーコンや生ハムはあらかじめ製造・冷凍してストックし、発注が来たタイミングで出荷する流れです。

売上機会の最大化と新たなビジネスの創出

ーーーー売上への影響はいかがですか。

これまで欠品が常態化していた状況を改善でき、量販店からの急な発注やギフト需要、EC注文にも即応できるようになり、機会損失が減りました。さらに、冷凍設備があることでOEMの受注も可能に。知人からの依頼でローストビーフを冷凍で納品したり、イベントではボイル後のソーセージを冷凍して提供したりと、相手のレシピに合わせた柔軟な対応ができています。機会損失を減らし売上機会を最大化することで、コスト削減に加えて、売上創出の部分でも冷凍の成果が現れています。

また、生ハムは1ヶ月前から仕込むため、需給差によるロスが出ることがありました。しかし今は、その差が見えた段階で冷凍ストックに回し、次回出荷に活用しています。食品業界はどうしても波がありますが、注文が多い時は在庫で対応し、少ない時はストック化することで、需給のブレに強くなりました。ロスがなくなったことで、精神的な負担も軽減されています。

冷凍を強みに広がる商品と販路

ーーーー今後の展望を教えてください。

ローストビーフや煮込みハンバーグなど、冷凍惣菜のラインナップをさらに拡充していきたいと考えています。自社ECを中心に直販も強化し、卸以外の販売も伸ばしていきたいです。また、既存のソーセージは具材冷凍が中心ですが、新商品については完成品冷凍を前提としたレシピ設計も可能です。小ロットでこだわりの商品を作り、ギフトとして展開するなど、新しい提案もできると考えています。

冷凍商品煮込みハンバーグ

アートロックの導入により、コスト削減と売上創出の両面で手応えを感じています。補助金の活用により、導入時の自己負担は約1/3でした。残業削減効果だけでも、3年で150〜200万円程度の回収を見込んでおり、さらに売上機会の拡大やOEMによる新たな収益も加わっています。結果として、投資額を上回る価値を生み出せているのではないでしょうか。今後も効率化と高品質の両立を追求しながら、嶋田ハムの味をより多くの方へ届けてまいります。

プロフィール

  • 会社名:株式会社嶋田ハム
  • 代表者:代表取締役 花澤直樹
  • 所在地:秋田県大仙市
  • 事業内容:ソーセージ、ベーコン、ハムなど食肉加工販売

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