2026.06.02 導入事例

有機野菜を、「料理のひと手間」を支える利便性と通年提供でもっと身近に。冷凍加工で目指す、地域にオーガニックを広げる仕組み

大根おろしやブロッコリーも、前処理研究で生の食感を再現

地域の農家と連携しながら、冷凍加工によって有機野菜に新たな価値を生み出しているHinata Organic Elements合同会社。同社では、有機野菜をカット・冷凍加工し、小売向けを中心に販売し、オールオーガニックにこだわりながら、食品ロス削減と利便性向上を両立しています。2024年春には、アートロックフリーザーを導入し、冷凍大根おろしやブロッコリー、いんげんなど、多彩な冷凍野菜の商品化を実現。加工現場での工夫や今後の展望について、代表の高木 資子様にお話を伺いました。

「オールオーガニック」で、食品ロス削減と利便性を両立

ーーーHinata Organic Elements様の事業内容について教えてください。

地元の無農薬生産法人から仕入れた有機野菜を、カット・冷凍加工して販売しています。当社の特徴は、「オールオーガニック」であること。有機野菜は、どうしても形やサイズが不揃いなものが出やすく、規格外として扱われる野菜も少なくありません。そうした野菜も引き取り、冷凍加工することで、小売向けの商品として活用しています。無駄なく活かしながら、美味しく便利な有機野菜をお届けすることを目指しています。

「これからの食生活には冷凍が必要」アートロックフリーザー導入の背景

ーーーアートロックフリーザーを導入された背景を教えてください。

野菜を長期保存する加工方法として、「乾燥」か「冷凍」かを検討する中で、これからの時代の消費者の食生活には、冷凍の方がより価値があると考えました。忙しい日常の中で、手軽に使えて、必要な時に必要な分だけ使える。そういう利便性は、今後ますます求められていくと感じています。アートロックフリーザーを選定したのは、品川ショールームで実機を見たのがきっかけです。まず機械がすごくかっこよかった(笑)それに加えて、操作や構造がシンプルで、メンテナンスもしやすそうだと感じました。現場で毎日使う設備だからこそ、扱いやすさは重要です。そうした点も含めて納得感があり、導入を決めました。

「自然解凍でもサラダに使える」冷凍加工で追求する品質づくり

ーーー冷凍カット野菜のラインナップや、加工における工夫を教えてください。

主力商品の一つが、冷凍の大根おろしです。大根おろしをキューブ状にして販売しています。サイズとしては氷ひとかけらくらいで、厚みは4〜5センチほど。アートロックフリーザーでは、約2時間ほどで芯までしっかり凍結できます。加工時には、すりおろした大根をそのまま凍らせるのではなく、一度軽く絞って水分をある程度切ります。解凍は600Wの電子レンジで20〜30秒ほど。解凍後も、生の大根おろしに近い食感を再現できています。キューブ状で小分けになっているので、「必要な分だけ使える」「調理が楽」と、小売店や消費者の方からも好評です。

そのほかにも、ブロッコリー、いんげん、ネギ、玉ねぎ、人参など、さまざまな野菜を加工しています。野菜の冷凍加工において特に意識しているのが水分管理と加熱のバランスです。例えばブロッコリーやいんげんは、軽くブランチングを行っています。ブロッコリーは茹ですぎると解凍後に食感が崩れてしまうため、芯まで火を通さない程度の硬めの状態で取り出します。また、茹でる時に非常に水分を吸いやすい野菜なので、茹でた後に大型スピナーを使ってしっかり水分を飛ばし、粗熱を取ってから冷凍。この工程を丁寧に行うことで、自然解凍でもそのままサラダに使えるくらい、食感の良い状態を再現できています。

インゲンはサッと茹でる程度に留め、カットねぎや玉ねぎのみじん切りは、生のまま冷凍しています。ニンジンについては、ブランチング後に凍結し、スーパーのお惣菜向け原料として活用されています。野菜によって繊維質や含水量が異なるため、「どう下処理をするか」「どこまで火を入れるか」「どれくらい水分を抜くか」で仕上がりが大きく変わります。ただ凍らせるだけではなく、前処理を含めた設計をそれぞれの野菜ごとに研究しています。

小売を中心に販路拡大。「料理のひと手間を代替する」商品づくり

ーーー販売先について教えてください。

現在は、小売向けの卸を中心に販路が広がっています。ローカルスーパーの「マルイチ」さんをはじめ、都内スーパーの「いなげや」さんやオーガニックショップなどにも展開。数量としてはまだ大きくありませんが、少しずつ着実に広がってきています。ニンジンのように業務用惣菜原料として使われる商品もありますが、基本的には小売向けの比重が高いです。

特別なマーケティング活動を積極的にしているわけではありませんが、展示会で関心を持っていただいたり、ホームページから「オーガニック野菜の冷凍を探している」というお問い合わせをいただいたりする機会が少しずつ増えて、販路につながっています。

私たちの商品コンセプトは「料理のひと手間を代替する」ことです。例えば大根おろしは、「あると便利だけど、作るのは少し面倒」という代表的な存在だと思います。そうした家庭でのリアルなシーンを想定しながら、使いやすい形にしています。便利さを追求した加工食品には添加物が使われることも多いですが、私たちはオールオーガニック・無添加で、手軽さと保存性を両立した商品づくりを目指しています。

毎日稼働する冷凍設備。現場発の工夫も

ーーー製造オペレーションについて教えてください。

冷凍設備は、ほぼ毎日5〜6時間ほど稼働しています。「今日はネギ」「今日は大根おろし」というように、収穫期に合わせて品目ごとに加工を集中させる計画生産を行っています。凍結時間の目安としては、大根おろしで約2時間、薄い素材なら30分程度、厚みのあるものでも1時間程度です。冷凍後は真空包装し、−30℃のストッカーで保管しています。賞味期限は、すべての冷凍野菜で製造日から1年に設定しています。

また、現場では独自の工夫もしています。例えば、冷凍機専用の防虫ネットや、冷凍機内の段数を増やすためのオリジナルラックを自作しました。ラックについては、風の循環や品質に影響が出ないかを確認しながら、テストを重ねて活用を進める予定です。

冷凍で「旬の価値」を閉じ込め、通年供給へ

ーーー導入後の効果について教えてください。

2024年春頃に冷凍機を導入して以降、新しい販路が広がり始めています。売上規模はまだ大きくありませんが、今後拡大していくための基盤ができたことは、大きな成果だと感じています。スーパーで売られている野菜も、旬を外れると価格が高くなりますし、栄養価や味も旬の時期とは違ってきます。だからこそ、旬の美味しさを冷凍で閉じ込めて、安定価格で届けられることには価値があると思います。

有機野菜は特に、収穫時期が限られるため通年供給が難しいですが、今後は生産者との連携をさらに強化しながら、冷凍を活用して、大根おろしやブロッコリーなどの主力商品を通年で供給できる体制を目指していきたいです。

形が不揃いな野菜も活用し、ロス削減にも貢献

地域にオーガニックを広げる冷凍加工の拠点へ

ーーー今後の展望について聞かせてください。

私たちが目指しているのは、農家さんと連携しながら、地域にオーガニックを普及させていくことです。もちろん地域外への販売も必要ですが、まずは地域の方々に地元の有機野菜を届けていきたい。そのためには、便利な加工品があることで、もっと日常的に食卓へ取り入れていただけるのではないかと思っています。

また、今後は地域の生産者さんや加工会社さんにも気軽に来ていただき、この加工場を見学したり、冷凍加工を体験したりできる場にしていきたい。地域の冷凍加工の拠点のような存在になれたら嬉しいです。

有機野菜の美味しさや価値を、もっと身近に感じてもらえるように、ローカルスーパーや生産者の方々と連携しながら、地域が一つになっていく。その中で私たちは加工という立場から、「長期保存」や「便利さ」という付加価値をつけて、地域の方々に有機野菜を届けていきたいと思います。

プロフィール

  • 会社名:Hinata Organic Elements合同会社
  • 代表者:代表 高木資子
  • 所在地:宮崎県日向市
  • 事業概要:有機野菜の加工・販売、冷凍カット野菜の製造販売