2026.07.22 セミナー 導入事例 研究レポート 仕出し・弁当 飲食業 弁当・惣菜 揚げ物 魚介 新商品開発 計画生産 中四国

高級料亭が実践する「冷凍×計画生産」を体感。日本料理「丸徳」視察&試食セミナーの開催レポート

2026年6月30日、徳島県の日本料理店 丸徳 にて、視察&試食セミナーを開催しました。当日は、同じく日本料理を手がける飲食事業者をはじめ、約25名が四国・関西・中国地方など各地から参加。高級料亭が実践する「冷凍×計画生産」の取り組みについて、講演・現場視察・試食を通して学ばせていただきました。ご好評いただいた本セミナーのレポートをお届けします。

【開催背景】「当日仕込み」が当たり前だった日本料理の課題解消

懐石料理など多品目を扱う日本料理店や仕出し店では、これまで「当日仕込み」が当たり前とされてきました。しかし近年は人手不足の深刻化により、従来のオペレーションだけでは店舗運営を維持することが難しくなりつつあります。一方、丸徳では、繊細な日本料理の品質を維持しながら、冷凍技術を活用した「計画生産モデル」を採用。生産性向上と労働環境改善を実現しています。本セミナーは、高級料亭がどのように冷凍を取り入れ、現場の課題を解決しているのか、その実践事例を体感いただくことを目的に開催しました。

【冷凍技術導入背景】日本料理の新しい可能性を探して

冒頭、丸徳代表の小川槙也様より、冷凍技術導入の経緯についてお話いただきました。

(丸徳 小川様)「日本料理に新たな可能性を生み出してくれる技術」として注目したのが冷凍技術でした。計画的に調理して冷凍保存しておけば、限られた人手でも安定して高品質な料理を提供でき、厨房の効率化につながります。また、品質を保ったまま配送できれば、ご来店が難しい方にもお店の味を楽しんでいただけます。時間と距離の壁を超え、日本料理の可能性を広げられると考え、アートロックフリーザーを導入しました。

キャプション:2025年導入時、小川様

【活用方法】良い魚を仕入れられる時に購入・ストック。仕込み時間を約半分に

続いて、丸徳での冷凍技術の活用方法について紹介いただきました。

(丸徳 小川様)地方市場では、都心の豊洲市場のように欲しい魚がいつでも手に入るわけではありません。丸徳では、アートロックフリーザーを導入して以降、良い魚が入荷したタイミングでまとめて仕入れ、下処理した状態で冷凍保管しています。マグロや季節の魚を計画的にストックできるようになったことで、仕入れ状況に左右されることなく、多彩な魚料理を安定して提供できるようになりました。

また、食材を事前に仕込み・ストックしておくことで、毎日約1時間かかっていた魚の下処理を大幅に削減。コース料理の一部は週2日にまとめて仕込む体制へ切り替えたことで、仕込み時間は約半分となり、週約3時間、月間10時間以上の作業時間削減につながっています。

一方で、すべての料理を冷凍しているわけではありません。小川様は「冷凍との相性が良い食材や、工程数が多く時間のかかる料理を優先して冷凍しています」と説明。冷凍するものと当日調理するものを適切に見極めることで、料理の品質を維持しながら効率化を目指していることを伝えました。

【現場視察】保管環境まで工夫し、より高い品質を追求

続いて、実際の厨房や冷凍設備を見学させていただきました。現場にはアートロックフリーザーに加え、-70℃の超低温ストッカーも設置されており、食材の特性や保管期間に応じて保存環境を使い分けられていました。

(丸徳 小川様)変色リスクのある食材は-70℃、比較的保管期間が短いものは-20℃と使い分けています。凍結方法だけでなく保管環境まで工夫することで、より高い品質を維持しています。

凍結だけでなく、保管温度まで細かく管理することで品質を追求する運用方法に、参加者は熱心に耳を傾けていました。

【全て冷凍活用のミニコース】前菜からデザートまで。季節を超えたおもてなし

視察後は、冷凍技術を活用した、このセミナーの為の特別ミニコースを試食させていただきました。当日提供されたメニューは、次の6品。いずれも、食材の旬や調理工程を考慮して計画的に冷凍活用されたお料理です。

  • とうもろこしの冷製スープ
  • 蟹真丈と冬瓜のお椀
  • 阿波牛のたたき
  • 鱧ドッグ
  • 季節の土鍋ご飯

例えば、とうもろこしは最も美味しい時期にまとめて仕入れ、粒の状態まで下処理して冷凍保存。阿波牛のたたきはスライスした状態で凍結することで解凍時間を短縮し、鱧ドッグは下揚げまで済ませて冷凍しておくことで、当日は仕上げの揚げ工程のみで提供できるよう工夫されています。

こうした計画生産により、旬の食材の美味しさを生かしながら、当日の調理負担を大幅に軽減。参加者からは、「冷凍とは思えない品質だった」「料理ごとの冷凍の使い分けや提供方法がとても参考になった」といった声が寄せられました。

【導入後の効果】計画生産で生まれた時間が、新たな収益につながる

最後に、小川様より導入後の変化についてお話しいただきました。

(丸徳 小川様)計画生産によって当日調理が必要な工程が減り、厨房全体の効率が向上。その結果、新たにパート・アルバイトの従業員とともにランチ営業を開始できるようになったほか、冷凍商品の開発など、新たな収益源づくりにも取り組めるようになりました。また、労働環境の改善によって従業員のモチベーション向上や採用面でも良い変化が生まれています。現在は、お店の人気メニューを活用した新商品の開発も進めており、今後はアートロックフリーザーの導入事業者との連携による新たな取り組みも構想中です。冷凍技術を活用しながら、日本料理の可能性をさらに広げる挑戦を、これからも続けてまいります。