2026.04.06 セミナー 導入事例 研究レポート

【泉州屋視察セミナーレポート】都市型工場×大型急速冷凍機で構築する独自の青果流通モデル

株式会社泉州屋の協力のもと、デイブレイクでは「泉州屋の大型急速冷凍機活用視察セミナー」を3/18に開催しました。大型機の稼働現場を間近で見学できる貴重な機会とあって、12名が参加。都市型工場という独自の取り組みと、大型急速冷凍機の活用事例を、現場のリアルな声とともにご紹介した本セミナーのレポートをお届けします。

大型冷凍機への注目が高まる背景

セミナー冒頭では、デイブレイク代表の木下より、デイブレイクの取り組みとアートロックフリーザーの概要について説明。泉州屋に導入されている大型機についても触れながら、現時点では導入比率はまだ一部に留まるものの、近年問い合わせが増加していることが共有されました。また、世界的に冷凍市場は拡大を続け、日本国内でも同様の成長が見込まれています。こうした背景から、高品質な冷凍食品の製造・流通に取り組む事業者が増えている点を強調しました。

泉州屋が描く「都市型工場」構想

続いて、泉州屋の秋山会長より、同社のビジネスモデルや、冷凍事業開始の背景について紹介しました。

ーーーー泉州屋のビジネスモデルについて

(秋山会長)泉州屋は、青果仲卸としての強みを活かしながら、大阪市の東部市場近隣に食品工場を新設しました。工場と物流センターを組み合わせたトライアングル構造により、物流コストの最適化と原料ロスの削減を実現。さらに、大型急速冷凍機を活用することで、素材の特性を維持した高品質な冷凍食品の製造を可能にし、多様な顧客ニーズへの対応力を強化しています。

​​ーーーー冷凍事業を始めた背景

冷凍事業を始めた背景として一番大きいのは、日本の果物の生産量が減っていることです。温暖化や異常気象も、もはや異常ではなく日常になりつつあり、加えて生産者の高齢化や物流問題もある。そうした中で、ロスを減らしながら付加価値をつけて、美味しいものを届けたいと考えました。仲卸として、正規では流通しにくい規格外品も仕入れられる強みがあります。それらを活かして、冷凍フルーツやフルーツサンド、焼き菓子、さらには水産品などへと展開しています。

機械選定のこだわり。多様な食材に対応する冷凍技術

次に、工場長の杉本様と特販部次長の生島様から、工場のコンセプトや稼働状況、展開製品について解説しました。

ーーーー工場の特徴について

(杉本様)この工場は都市型工場をコンセプトにしています。一般的に工場は郊外に作られますが、私たちは市場の徒歩圏内に設けることで、より効率の良い体制を整えました。もう一つの特徴は、多品種中量生産です。大手の大量生産とは異なる領域で価値を出すために、この形を選びました。フルーツは本来、旬が一番美味しい。それを一年中楽しめるのが急速冷凍の強みです。

ーーーー機械の選定について

プロジェクトは約4年前から始まり、1年かけて10社以上を比較しました。その中で最も品質が良かったのがアートロックフリーザーです。トンネル式は大量生産には適していますが、私たちのような多品種中量には相性がよくない。アートロックは品質面でも優れており、大型ラックを活用することで効率的な運用が可能です。総合的な評価でアートロックフリーザーを選定しました。

ーーーー実際の活用内容について

泉州屋では、フルーツに加え、焼き菓子や菓子生地、さらには鮮魚や野菜まで幅広く冷凍加工を実施しています。鯛やアワビ、サザエなどは海外輸出にも対応しており、用途に応じて最適な形で出荷しています。例えば鯛は丸のまま。切り身にした方が当然凍結スピードは早いですが、現地で捌けるようにこの形で出荷させていただいています。

(生島様)泉州屋では、冷凍フルーツをはじめ、フルーツサンド、焼き菓子、ペットフード、水産加工品など、多岐にわたる商品を展開しております。特に焼き菓子分野では、製造効率の向上と品質安定の両立を目的に冷凍活用が活躍。保存手段にとどまらず、商品開発や販路拡大の基盤として機能しています。

工場見学で見えた「使い分け」と運用現場の声

冷凍機見学では、大型アートロックフリーザーの内部や運用の様子を間近で確認。実際にカートを投入する実演も行われ、参加者の関心を集めました。また、実際の使い勝手について、杉本工場長は以下のようにコメントしました。

ーーーー操作性について

(杉本様)操作がシンプルで、ほとんどボタン操作がいらない点は非常に使いやすいです。風もマイルドなので水分が抜けにくく、シャインマスカットのような割れやすい果物でも品質を保てます。

ーーーー液体凍結とどのように使い分けているのか

固形物やブロック状のもの、魚の切り身などは液体凍結を使います。一方で、フルーツや繊細な食材はアートロックのような空気式が適しています。液体凍結はスピード面で優れていますが、液体の補充コストや、拭き取りなどの作業負担も発生します。それぞれメリット・デメリットがあるので、食材や用途に応じて使い分けています。

ーーーーメンテナンスや故障対応について

2年間で一度だけ不具合がありましたが、連絡後すぐに対応してもらえました。結果的にファンの交換まで行っていただき、スムーズでした。現場としては、こうした対応の速さは安心材料です。

良い点だけでなく課題や実体験も含めた情報に、参加者は強い関心を示し、現場導入後のイメージをより具体的に深めている様子でした。

試食で実感する品質価値と商品化の可能性

セミナーの最後には、泉州屋が製造する冷凍商品の試食が行われました。提供されたのは、冷凍フルーツ、アサイーボウル、マカロンやフィナンシェといった焼き菓子、そしてフルーツサンドなど多彩なラインナップです。参加者からは、見た目・食感・風味いずれにおいても高い評価が寄せられ、冷凍であることを感じさせない仕上がりに驚きの声が上がりました。中でも印象的だったのは、解凍してそのまま提供できるフルーツサンド。単なる品質体験にとどまらず、自社でどう活かすかというイメージにつながる体験となりました。

参加者の声とセミナー総括

今回の視察セミナーは、都市型工場という立地戦略と、大型急速冷凍機の実運用を掛け合わせた内容でした。参加者アンケートでは、「非常に参考になった」「実際の運用イメージが具体的に湧いた」といった声が多く寄せられ、約92%が「参考になった」と回答。満足度の高さがうかがえます。

泉州屋様の取り組みは、仕入れ・加工・物流・販売を一体で設計することで価値を最大化するモデルとして、多くの示唆を与えるものでした。都市型工場と大型急速冷凍機の組み合わせは、今後の食品製造・流通の在り方に一石を投じる存在として、注目を集めていくのではないでしょうか。

デイブレイクでは、こうした現場視察を通じて得られる知見をもとに、食品事業者の課題解決につながる新たなソリューションの提案を、今後も継続してまいります。

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