スーパーにおいて、冷凍食品は近年伸長するカテゴリーである一方、価格競争が激しい市場でもあります。そんな中、株式会社ベルクは、新たな商品開発や販売チャネルを開拓するために冷凍技術の活用を始め、2025年12月に「アートロックフリーザー」を導入。オリジナル商品の開発に取り組んでいます。さらに目指しているのは、ベルクの店舗だけに依存しない販売モデルです。さまざまな場所へ冷凍商品を届ける「外販」を新たな事業機会として開拓しています。ベルクにおける冷凍商品開発の背景から店舗の外に広がる冷凍商品の可能性について、デリカ部MDの森誠治様にお話を伺いました。
ーーーー導入背景を教えてください。
ベルクとして冷凍食品分野の商品開発を手がけたい思いがあり、本格的に検討を始めたのが2025年4月。そして同年12月に、商品開発用にアートロックフリーザーを導入しました。冷凍商材をつくろうと考えた背景には、コロナ禍をきっかけとした冷凍需要の高まりがあります。従来の冷凍食品に加えて、高品質な商品や簡便性の高い商品も伸びています。一方で、小売業では「冷凍食品は安いもの」という世界が当たり前になっていて、「おいしい商品を探す」というより「安いものを探す」という感覚がまだ強い。だからこそ、ここでしか買えないオリジナリティが必要だと考えました。
ーーーーアートロックフリーザーを選んだ決め手は何でしたか。
アルコール凍結のスピード感は以前から知っていましたが、継続して使うことを考えるとエアブラスト方式にしたいという思いがありました。展示会でアートロックフリーザーを知り、将来的な展開を見据えて導入を決定。今は商品開発に活用していますが、非常に品質の良い状態で冷凍できています。特に米飯類は品質保持ができていて、電子レンジで温め直しても乾いた感じがしません。

ーーーー商品開発のコンセプトはどのように設定されていますか。
最初は、デリカで売っている商品を冷凍化するコンセプトで動いていましたが、もう一歩先に進んで、冷凍を前提にしたオリジナル商品を新しくつくろうという発想に転換しました。その象徴が「アヒージョ」。冷凍商品を先につくって、後からデリカでも販売している商品です。デリカでは、冷凍食品をそのまま加熱しているわけではなく、別の仕様で同じ素材を使って展開しています。冷凍食品売場には、安価な定番商品がたくさんあります。同じようなものをつくっても、価格ではなかなか勝てません。それなら、専門店のような品質の味を取り入れて、「新しい」と感じてもらえる商品をつくる方が価格戦略としても良いと考えています。
ーーーー商品ラインナップについて教えてください。
現在、新たに開発したオリジナルの冷凍商品を一部店舗で販売しています。ラインナップは、弁当、アヒージョ、パスタなど。弁当は、ご飯の上におかずを載せた状態で冷凍しています。ご飯とおかずを仕切りで分けた冷凍食品もありますが、電子レンジで温める際にどちらかが熱くなりすぎる懸念があります。そのため、仕切りを設けず、全体に熱が伝わる形を採用しました。パスタは、電子レンジで5~6分ほど加熱して最終調理をする設計です。生パスタの茹で時間を規定の4分から3分半に短縮し、アルデンテの状態にして、上からソースをたっぷりかけています。
価格帯は400〜600円程度。良い素材を使い、デザインシールの背景色やカラーリングなど、パッケージデザインにもこだわっています。ターゲット層は主に2つ。一つは、小学生から中学生くらいのお子さんがいる30~40代のママ世代。もう一つは、60~70代のアクティブシニアです。生活シーンを想定して商品を設計しています。


ーーーー販売先について教えてください。
現在、冷凍商品は10店舗と、宅配関連店舗約20店舗で展開しています。ただ、私たちは最初から「店舗だけで売る」という考えではありませんでした。自社店舗ではない場所での販売も開拓しています。
例えば北関東では、給食をつくってくれる事業所が減り、「買いたくても買えない」給食難民と呼ばれる施設も増えています。そこで、週1回、2回でも冷凍弁当と惣菜をセットで提供できれば、需要があるかもしれません。キャンプ場にも可能性があります。高規格のキャンプ場には冷凍ショーケースが設置されていることも多く、そこに解凍して食べられる惣菜があってもいいかもしれない。
実際に成功しているのが、オフィスでの食事です。八戸にあるグループ企業では、周辺にコンビニやスーパーがありません。そこで冷凍商品を置くことを人事に提案し、福利厚生として会社が半額を補助することで、300円程度で弁当やパスタを食べられる取り組みを始めました。外部サービスを導入するのではなく、自社の商品をグループ企業の福利厚生として提供する。会社にとっても、従業員にとってもメリットのある仕組みです。ベルクの店舗がない西日本エリアも含め、「外販」という形で新たな売上をつくることを視野に入れています。

ーーーー外販を重視する理由を教えてください。
冷凍弁当を店舗だけで展開すると、どうしても販売数に限界があります。どれだけきれいに売場をつくっても、1日に1個、2個という店舗もあります。同じデリカ売場には399円のカツ丼が並んでいますから、そこで単純に競争するのは難しい。だから、冷凍商品を店舗で売ることは「宣伝」でもあると考えています。「ベルクで何か面白いことをやっている」と知ってもらうための手法です。もちろん売れれば嬉しいですし、実際に売れている店舗もあります。それを一つの宣伝効果として、ベルクという150~160店舗の箱の中でだけではなく、外に新しい売上をつくっていく計画です。

外販と並行して、店舗での新しい販売方法も検討しています。例えばこちらの「黒いマルゲリータ」。トマトソースにイカ墨を加えることで、旨みやコクを出しています。このピザは冷凍食品として販売するだけでなく、温度帯を変えてチルド商品としてや、デリカでの販売も視野に入れています。ベルクでは、ピザ窯がある店舗は全体の一部です。しかし、焼成済みの生地と食材を盛り付けた状態で冷凍しておけば、スチコンを使って、ピザ窯のない店舗でも販売できる可能性があります。


冷凍商品の強みは、売場効率にもあります。冷凍ならロスがなく、最初に品出ししてしまえば、しばらく期限を気にする必要もありません。さらに、店舗によっては夜9時以降に冷凍弁当が売れています。デリカ部門は午後3時くらいまでに製造し、その商品を夕方6~7時頃までに売り切るように動きます。6時半頃から値引きが始まり、夜9時頃には弁当がほとんど残っていません。一方で、ベルクの店舗は24時まで営業しています。夜遅く帰ってきたお客様にとって、夜に購入できる冷凍弁当は一つの選択肢です。将来的には、夜間のスタッフがスチコンで温めて提供するなど、「売り切ることを前提としない」新しい店舗運営も検討しています。
ーーーー冷凍技術に期待することを教えてください。
今まで自分たちが考えていたものを超える可能性が広がっていて、伸びしろを感じます。商品力と考え方で新しい売上をつくることができれば、事業に発展できます。店舗という場所に縛られず、商品そのものをいろいろなところに届けられる冷凍の強みを活かして、オフィス、給食施設、キャンプ場、ホテルなど、さまざまな場所を売り場として捉えていきたいです。
ベルクにとってアートロックフリーザーは、冷凍食品をつくるための設備にとどまらず、スーパーという業態の外へ、新たな売り方を開拓していくための起点になりつつあります。そして、そうした取り組みを進めるうえで、デイブレイクさんの顧客同士がつながる雰囲気はすごくいいと思います。通常の商売につながるかもしれないし、新しい取り組みを発展させる助けを得られるかもしれない。このような機会はなかなかありません。冷凍をきっかけに、新しい商品、新しい売り方、新しいつながりが生まれていく。そこに大きな可能性を感じています。

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