2026.02.28 導入事例

高付加価値化で水産業を次の時代へ。冷凍が支える天草・真鯛養殖の新戦略

熊本県天草市で真鯛・とらふぐの養殖を手がける株式会社ふく成。「こどもたちの未来に食をつなぐ」というミッションのもと、養殖だけでなく加工・販売まで一貫して取り組む6次産業化を推進しています。それを支えるのが、デイブレイクのアートロックフリーザーです。コロナ禍や赤潮被害という試練を乗り越える中で、冷凍技術は単なる保存手段ではなく、経営を支える戦略へと進化しました。ふく成の取り組みと、アートロックフリーザー導入による変化についてお話を伺いました。

「こどもたちの未来に食をつなぐ」養殖業から6次産業へ

ーーーーふく成の事業について教えてください。

ふく成は、熊本県天草市で、海の恵みを活かしながら真鯛やとらふぐの養殖事業を展開しています。安心安全で品質の高い魚として熊本県の適正養殖業者認証を取得しており、飲食店や有名ホテルなどでもご使用いただいています。また、「こどもたちの未来に食をつなぐ」というミッションを掲げ、持続可能な水産業を実現するために、養殖だけでなく加工・販売まで手がける6次産業化を推進。鮮魚に加え切身や加工品も展開しており、そこで重要な役割を果たしているのがアートロックフリーザーです。

ふく成の加工製品は、フィッシュ(魚)とフレッシュ(新鮮)を掛け合わせた「フィレッシュ」というブランドで展開しています。とれたての鮮度を保つアートロックの冷凍技術と、冷凍保管中に旨みを高める冷凍熟成の技法を組み合わせることで、魚本来の新鮮さと旨みを最大限引き出すことに成功。冷凍することで「より美味しくする」独自の鮮度保持技術で、高付加価値な商品づくりに取り組んでいます。

コロナ禍が転機に。冷凍が事業を救った

ーーーーアートロックを導入したきっかけは何だったのでしょうか。

木下社長とのご縁があり冷凍機を導入しました。導入してまもなくコロナが流行し、業務用卸の需要が激減。このままでは厳しい状況に陥った時に、冷凍技術を活かして新しい販路を開拓しようと、加工品の産直販売をスタートしました。産直サイトを通じて冷凍真鯛の販売をはじめ、おかげさまで食べチョクアワード水産物部門で2年連続1位という評価をいただいています。2022年には加工場を新設し、新たにアートロックフリーザーを導入。養殖鮮魚の卸だけでなく、自分たちのアイデアで商品を開発し、付加価値やブランド力を高めて販売していく方針へと舵を切りました。

研究機関の味覚分析結果で、ふく成の真鯛が凍結前に比べ旨みとコクが約2.7倍増すことが確認されました。

子育てママの声から生まれる商品開発

ーーーー商品開発や製造のプロセスについて教えてください。

ふく成では子育て中のママが多く働いていて、商品開発は従業員の「こんなお魚商品があったらいいね」という声から始まります。忙しい家庭でも使いやすいこと、子どもたちが自然と魚を食べたくなること。この視点を大切にしています。一番人気は「タイコロステーキ」。カット済みで使いやすく、さまざまな料理に応用できると好評です。鯛カツもイベント販売で好評でした。また、業務用のポーションカット商品は、下処理済みで必要な分だけ解凍できる利便性や品質が評価され、結婚式場やホテルなど人手不足に悩む現場で重宝されています。

タイコロステーキを使ったお子様プレート
ふく成のHPでは、商品を使ったレシピを多数紹介 https://fukunari.jp/recipe/

小売展開とブランド力の向上

ーーーー加工品はどこで販売されているのですか。

イオン九州やイズミなどのスーパーや生協で販売いただいています。専用の冷凍ケースを設置して売場展開してくださる店舗もあります。2025年7月には、デイブレイク主催のダイエー商談会に参加し、それを機にダイエーの一部店舗でも販売が始まりました。年間売上は約3億円で、卸が約7割、ECが約3割です。冷凍商品は全体の3割を占めています。今後は加工度が高く、利益率の高い冷凍商品の比率をさらに伸ばしていきたいと考えています。

ふく成の商品が販売されている売場

付加価値をつけた加工販売への転換がもたらした変化

ーーーー加工販売を柱の一つにしたことで、どんな変化がありましたか。

鮮魚を市場に卸すだけでは、経営は厳しくなってしまいます。価格は市場任せでコントロールできないことが多くあります。持続可能な水産業を実現するには、自ら加工し、付加価値をつけて販売するしかないと感じ、今の方針に至りました。生産者は「作るのは上手だけど売るのが苦手」な方が多いです。私たちはブランディングを独学で学び、ビジョンや想いをしっかり伝えながら商品価値を発信しています。その結果、九州だけでなく本州からも「ふく成の商品を使いたい」と言ってくださるお客様が増えており、少しずつ手応えを感じています。

取締役の平尾有希さんは、様々なコンテストに登壇。未来を見据えたふく成の取り組みが評価され、各種受賞歴を持つ

また、水産業はきつい・汚い・危険の3Kと言われ、人材不足が深刻です。これからの水産業を守るためには働き方も変える必要があります。ふく成では、子育てママが時短で働ける環境づくりや、柔軟な勤務体系を整え、現在は若い世代から70代まで幅広い世代が活躍しています。

赤潮被害と冷凍の役割

ーーーー海の変化をどのように感じていますか。

ここ数年、3年連続で赤潮の被害を受けています。一晩で何万匹も死んでしまう光景は、本当に辛いものです。赤潮には予兆があり、自治体や漁協から連絡が入ることもあります。そうした時に、事前に冷凍加工を進めることで被害を最小限に抑えることができる。海の環境が変化する中で水産業を守るためにも、冷凍は必要な技術だと考えています。

冷凍を活かし、付加価値をつけた新しい水産業へ

ーーーー今後の展望を教えてください。

私たちのミッション「こどもたちの未来に食をつなぐ」を実現するために、アートロックの技術は欠かせません。安心安全で高付加価値な商品を生み出し、魚を食べる文化を改めて広げていきたい。そして、養殖業の可能性をさらに広げ、新しい水産業の形をつくっていきたいと考えています。冷凍は単なる保存ではなく、品質を守り価値を高める技術。これからも、アートロックとともにふく成の挑戦を続けていきます。

プロフィール

  • 会社名:株式会社ふく成
  • 代表:代表取締役 平尾 優
  • 所在地:熊本県熊本市
  • 事業内容:水産養殖業/水産卸売業/PR事業/EC事業/SEAFOODTECH事業