2026.10.09 導入事例 畜産・精肉加工 肉 計画生産 販路拡大 北陸

売上6倍の肉おせちの成功から、時代に合わせた新たな挑戦へ。生まれた土地の特産品展開など、アートロックで広がる精肉加工の可能性

福井県で精肉加工・販売を手がける高島屋株式会社。鹿児島黒牛を使った高級肉おせちの製造をきっかけに、アートロックフリーザーを導入しました。それまで12月に集中していた生産を前倒しすることで、繁忙期の売り逃しを解消。高級和牛おせちの売上を前年の6倍以上に伸ばし、大きな成果につながりました。一方で、近年は原材料費や人件費の高騰、消費者のおせち離れなど、事業環境も変化しています。高島屋では、これまで培ってきた冷凍技術を活かしながら、おせちからオードブルへ、さらには離島の畜産を支える商品開発へと、新たな挑戦を続けています。代表の高島清次郎様に、導入の背景から現在の取り組み、これから目指す精肉加工の可能性について伺いました。

「12月に売る」から「前もって作る」へ。肉おせちが変えた生産のあり方

ーーーーアートロックフリーザーを導入されたきっかけを教えてください。

和牛づくしのおせちを作ることがきっかけです。鹿児島黒牛を使った高級おせちを受注販売していたのですが、12月は23時までの長時間作業が常態化していました。お肉屋さんは12月だけ通常月の3倍くらい売り上げます。ただ、忙しすぎて、結果的にやれる範囲が限られてしまう。生産能力を超えた注文を断らざるを得ない「売り逃し」も起きていました。そこで、お盆が終わった後の閑散期で原料の価格が下がる9月ごろから前倒しして、年末に向けて商品を作っていこうと考えたんです。

お歳暮などは決められた価格で販売するので、コストを下げるには作業効率を良くするしかありません。アートロックは凍結テストで、和牛の繊細なうま味や食感を損なわず、新鮮な状態を再現できたことが決め手になりました。計画生産に切り替えたことで売り逃しを解消し、高級和牛おせちの売上は前年の6倍以上に。設備投資分も1年以内に回収することができました。

肉おせちからオードブルへ。市場の変化に合わせて商品も変える

ーーーー肉おせちは、現在も同じ体制で製造を継続されていますか。

大きな成功に繋がった肉おせちですが、昨年までで終了して、今後はオードブルに切り替える予定です。理由の一つは、9月10月の閑散期でも原料価格が以前ほど下がらなくなったことです。9月から作り始めて、売上になるのが1月だと、4~5カ月間資金を寝かせることになります。人手不足や材料費、光熱費の高騰もあって、以前のように「早く作れば安くできる」とはいかなくなってきました。

そこで、もう少しタイムリーに販売できる商品として、オードブルを考えています。例えばコロッケを500個ほど揚げてアートロックで冷凍しておけば、注文に合わせて冷凍状態のまま盛り付けることができます。全部を手作りすると1日50セットくらいしか作れませんが、冷凍をうまく組み合わせれば生産能力を高められる。また、おせちを食べる習慣そのものも変わってきています。そうした消費者の変化も捉えながら、商品を変えていく必要があると考え、選択肢を広げました。

贈答品から家庭用商品まで。「一番おいしい瞬間」を冷凍する

ーーーー現在はどのような商品にアートロックを活用されていますか。

和牛を使った家庭向けの冷凍食品を、オンラインや実店舗、卸などで販売しています。カットしたお肉のほか、ローストビーフやカルビ丼などもあります。お中元やお歳暮も、ほぼ冷凍に切り替えました。特に夏は霜降りのお肉が溶けやすく、家庭用の冷凍庫では品質を保つのが難しいです。そこで、温度管理された加工場でカットして、そのままアートロックで凍結して届ける方法を採用。解凍は基本的に冷蔵解凍です。最近のように暑い夏が続くと、贈答品の冷凍需要は大きいと思います。それに、お肉は「新しければ新しいほどおいしい」というわけでもありません。頃合いを見て加工し、一番おいしいと思うタイミングで切り出しています。その瞬間を止められるアートロックの効果は大きいです。

「でき上がった状態」をそのまま凍結。冷凍技術を商品開発に活かす

ーーーーアートロックを活用した商品づくりで、可能性を感じることはありますか。

出来たてを、そのまま凍結できるところだと思っています。例えば、肉のケーキです。ローストビーフを花びらのように盛り付けて、その状態のまま凍結してスキンパックすれば、立体感のある商品を提供できます。ローストビーフの場合、焼き上がったものを温かい状態でも真空できる機械で真空して、アートロックなどで一気に冷却。表面を半冷凍にして、縁がきれいに切れる状態でスライスし、ふわっと盛り付けてから最終的にしっかり凍らせる。そうすると、解凍したときにも立体感が残ります。また、こうした冷凍技術を評価していただき、OEMで製造してほしいという依頼もいただいています。

離島の牛を地域の特産品に。アートロックで新たな地域産業をつくる

ーーーー最近の新しい取り組みがあれば教えてください。

もともと鹿児島の牛を仕入れていたので、その牛がどこで生まれているのかを調べていくと、奄美大島などの離島生まれの牛が多いことに気づきました。離島では繁殖牛が多く、子牛をセリに出した後、その牛がどうなっているかは島からは見えません。そこで、生まれた牛を島の特産品にできないかと考えました。アートロックを活用して牛丼やステーキ丼などの冷凍加工品を開発し、牛の生まれ故郷である奄美大島に戻して販売することで、島の方々にも喜んでいただいています。

もう一つは、子牛を産んだお母さん牛を、もう一度活かす取り組みです。これまで赤ちゃんを産んだ後の経産牛は、肉質が硬いという理由で価値がつきにくいこともありました。もともと健康的な餌を食べてきた牛に、出産後さらに栄養のある餌を与えると、6カ月ほどで200~300kg体重が増えます。ずっと島で活躍してきた牛を、もう一度外で育てて島に戻し、島の特産品として販売する。こうした取り組みにもアートロックを活用しています。もしビジネスとして形になれば、同じモデルをいろいろな離島に展開できると思います。

全国の肉屋がつながれば、もっと面白い商品が生まれる

ーーーー今後の展望を教えてください。

デイブレイクさんを中心にして、相棒と言えるような関係を肉業界で築きたいと思っています。例えば、同じ志のある肉屋さんを集めて「本気の商品を一緒につくり、それぞれの悩みを解決しませんか」という企画。ローストビーフを作るのが得意なお肉屋さんもいれば、ステーキカットがうまいお肉屋さん、うちのように、お肉をケーキのように繊細に盛り付けることが得意なところもある。そういう会社が集まれば、たくさんのスペシャルな商品ができます。それを日本中・インバウンド需要などに向けて広く売っていく。

冷凍技術を使えば、これまで「その地域でしかできなかったこと」や「その会社だからできたこと」を、もっと広い市場に届けられる可能性があります。時代が変われば、売れる商品も、生産の仕方も変わります。だからこそ、これまでの成功にとどまらず、新しい挑戦につなげていきたいです。

プロフィール

  • 会社名:高島屋株式会社
  • 代表者:代表取締役社長 高島 清次郎
  • 所在地:福井県福井市
  • 事業概要:精肉加工・販売、食肉加工品の製造・販売、冷凍食品の製造・販売
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