創業70年、車海老養殖を展開してきた吉本水産。これまで市場出荷を中心としていた同社は、近年、ECや百貨店、ホテル向けなど直販モデルへと大きく舵を切っています。それを支えるのがアートロックフリーザーです。冷凍技術を活用することで、これまで規格外として扱われていたエビにも新たな価値を見出し、加工品開発と販路拡大を同時に実現。通年販売体制の構築や生産効率の向上にもつなげています。どのように冷凍を事業に組み込み、成長を遂げてきたのか、代表の吉本清様に伺いました。
ーーーー事業について教えてください。
車海老養殖業を70年営んでいます。これまでは市場出荷が主でしたが、ECや小売、ホテルなどへの直接販売にシフトし、年内には市場出荷はほぼゼロになる見込みです。
年末の活き車海老の出荷後は冷凍在庫に依存し、翌年までの間で在庫不足のリスクがありました。通年で安定供給できる体制をつくるために早期養殖にも広げ、現在は年に2回のサイクルで運用しています。早期は4月からお盆までで、小型のエビを加工・冷凍用に。後期は6月から11月後半まで、年末の贈答向けのサイズに育てます。

ーーーーアートロックフリーザー導入のきっかけを教えてください。
冷凍技術については前々から知っており、以前はマイナス60℃の冷凍庫と食品用エタノールを使って、液体凍結を自作で運用していました。5年ほど販売しましたが、真空袋の破損やエタノール混入といったロスが課題に。そこで、補助金を活用して約3年前に空気凍結式のアートロックを導入しました。アートロックを知ったのは養殖事業者の知人からの紹介でしたが、結果として加工品の開発が前進しました。
ーーーー現在の冷凍活用について教えてください。
ここ数年、お盆の時期に水温が上がり海老が死んでしまうリスクが高まるため、早期の海老はお盆前に取り上げると決めてます。通常の年末用の大きな海老に比べれば、早期養殖の海老は生育期間が短くサイズが小さいため、それらを活用して海老の味噌漬けや醤油漬け、海老カツなどの加工品を作っています。
海老カツには、規格外の海老を使用。傷がある海老や死んでしまった海老は市場だと価値が大きく下がりますが、加工用として活用することで売上につなげられるようになりました。販路はECやふるさと納税、百貨店、高級ホテルなど。熊本のアンテナショップ経由で新しい販路が生まれることもあります。


ーーーー売上面での変化はありましたか。
市場出荷に依存していた頃と比べると、売上はおよそ2倍になりました。これまで値がつかなかった規格外を価値のある商品に変えられたことや、ロスがなくなったことが売上向上に寄与しています。海老カツを作る際に出る頭や殻も、急速冷凍して出汁などに活用できます。OEMの依頼も増えており、今後は冷凍原料を解凍して常温商品にする展開も考えています。

ーーーー製造工程について教えてください。
例えば味噌漬け用のエビは、適したサイズになる期間が2週間ほどしかありません。そのタイミングで集中的に加工し、3日間冷蔵で漬け込んでから急速冷凍します。それ以外の時期は別の商品を製造し、生きた海老がない時は冷凍原料を解凍して加工します。
海老カツの場合は、一度冷凍した方が殻が剥きやすく、作業時間は生を加工する時の半分程度です。冷凍した海老を流水解凍してむき身にし、成形後パン粉をつけて冷凍。手が空いたタイミングで仕込みができるので、生産効率も上がっています。
ーーーー冷凍海老の品質はいかがですか。
凍結スピードだけで言えば液体凍結の方が速いですが、加工品への汎用性は空気凍結の方が高いと感じています。冷凍後に真空できる点も含めて、使いやすいです。
品質面については、生の海老と冷凍海老それぞれに良さがあります。「食感」は生の方が優れていますが、「甘み」は、アミノ酸の増加によって冷凍の方が強く感じられます。そのため、お客様にはそれぞれの特長をお伝えし、用途やお好みに合わせて選んでいただいています。好きなタイミングで食べられる利便性やギフト用途の広がりもあり、冷凍商品を選ばれる方は増えている印象です。


ーーーー保管方法はどのようにされていますか。
マイナス35℃のプレハブ冷凍庫で保管し、さらに真空した海老を発泡容器に入れて密閉保管しています。霜取り運転時も温度変化を最小限に抑えられるため、この方法なら半年以上経っても品質に問題はありません。一般的なマイナス20℃の冷凍庫だと、真空していても冷凍焼けが起きやすい。保管は非常に重要だと思います。
個人向け商品の賞味期限は、検査上は1年でも問題ありませんが、なるべく早くお召し上がりいただきたいため品質を考えて1ヶ月程度で設定しています。
ーーーー今後の展望を教えてください。
海面養殖はどうしても自然環境の影響を受け、最近は特に高水温による生育不良が深刻です。安定供給できる体制づくりのために、水温をコントロールできる陸上養殖も視野に入れています。冷凍と組み合わせて商品や販路をさらに広げていきたいです。
規格外の活用、通年販売、作業効率化など、アートロックフリーザーの導入は、それらを同時に実現する基盤となっています。将来的には海外展開も視野に入れていますが、まずは生産を安定させること。その上で、生の活き車海老だけでなく冷凍加工品の価値を高めていきたいと思います。
創業70年、車海老養殖を展開してきた吉本水産。これまで市場出荷を中心としていた同社は、近年、ECや百貨店、ホテル向けなど直販モデルへと大きく舵を切っています。それを支えるのがアートロックフリーザーです。冷凍技術を活用する […]
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