2026.03.29 導入事例

料理人依存から脱却し、A5ランク常陸牛にメニューを厳選。急速冷凍でホテルレストランが売上1.8倍を実現した計画生産の仕組み

茨城県笠間市でホテル・レストランを運営する株式会社フードセンターでは、急速冷凍を活用した生産調理体制を構築し、レストランと弁当事業の売上を大きく伸ばしています。かつては料理人の技量や人員に依存する運営体制でしたが、急速冷凍機の導入をきっかけに計画生産型のオペレーションへと転換。人員を増やさず売上を約1.8倍まで拡大し、高級食材の活用や新店舗展開につなげています。急速冷凍導入の背景や具体的な活用方法、今後の事業展開について、代表の本間雄一郎様にお話を伺いました。

「席数×滞在時間」の限界から、高級弁当事業へ

ーーーー事業について教えてください。

このホテルは約26年前に建てられた施設で、私たちが新しく建てたものではなく買収したものです。積極的にというより、金融機関からの依頼もあり、遠い親戚が経営していたホテルだったことから引き受ける形でした。

現在の主な事業は、ホテル運営とレストラン、そして宅配事業です。私が東京の会社を辞めて地元に戻ったのは2019年。当時はホテルもレストランも業績が厳しく、特にレストランは料理人に依存した体制で、半年でパートスタッフが5人辞めるような状況でした。自分でも厨房に入りながら運営を見直していく中で気づいたのが、レストランは「席数×滞在時間」で売上の上限が決まってしまうということです。私は事業をスケールさせるために地元に戻ってきたので、この構造では限界があると感じました。視野を広げて飲食ビジネスを調べる中で出会ったのが、高級弁当事業です。これならレストランの席数に縛られず売上を伸ばせると考え、2020年8月に本格的に事業を開始しました。

人に依存しない生産体制へ。急速冷凍を導入

ーーーー急速冷凍を導入した背景を教えてください。

冷凍を使わない場合、どうしても人の能力に生産量が左右されます。料理人の人数や腕によって作れる量が変わるため、安定した生産体制を作りにくい。そこで、生産調理型のオペレーションへ切り替えるために、事業再構築補助金を活用して急速冷凍機とプレハブ冷凍庫を導入しました。

現在は、弁当のメイン料理や、ホテルレストランのランチで使う常陸牛などを冷凍しています。宅配のオードブルも、葉物野菜以外の料理は基本的に急速冷凍です。ただし、すべてを最終調理まで仕上げて凍らせるわけではありません。料理によっては仕込み段階で止めた方が品質が良いものもあるので、実験を重ねながら最適な工程を見極めています。

例えば揚げ物は、提供時に5分揚げる料理であれば、2〜3分ほど軽く火を入れた段階で急速冷凍します。前日に冷蔵解凍し、当日の朝にスチームコンベクションで最終加熱を行う仕組みです。

繁忙期の生産性が劇的に向上

ーーーー冷凍導入によってどのような変化がありましたか。

最も変化があったのは、オードブルの生産性です。以前は前日にすべて仕込むしかありませんでしたが、急速冷凍を導入したことで、事前に仕込みができるようになりました。過去の販売データから需要を予測し、繁忙期の1ヶ月前から少しずつ仕込みを行い、冷凍ストックしていきます。基本的には2〜3週間程度のストックですが、栗のモンブランに使う栗ペーストなどは、2ヶ月先の販売を見据えて生産することもあります。

またレストランで提供するハンバーグやステーキは、生肉を成形して急速冷凍し、前日に解凍。ランチ前に焼き目をつけておき、注文が入ったらスチームコンベクションで仕上げます。本来は注文後に生肉から調理した方が多少味が良いかもしれませんが、現場の負担軽減と提供時間の短縮を優先して、この方法を採用しています。

中間冷却中のカレー。粗熱を取り、真空パックして急速冷凍

人員を増やさず売上1.8倍に

ーーーー売上やコスト面ではどのような成果がありましたか。

計画生産を始めて約4年になりますが、売上は大きく伸びています。2020年は約3,000万円だった売上が、2021年に弁当事業を開始すると初年度で1,000万円増加。その後も毎年数百万円ずつ着実に成長を続け、2025年には5,600万円にまで拡大しました。

通常であれば、この売上規模まで伸ばすには料理人を2人以上増やす必要があります。しかし当社では、調理専門職は1人だけ。フロントスタッフなどをマルチタスク化し、調理にも関われる体制にしました。その結果、人員をほとんど増やさず売上を約1.8倍まで拡大することができました。急速冷凍を導入して一番大きかったのは、人的リソースを増やさず生産性を上げられたことです。空いている時間に仕込みを行い、冷凍しておくことで効率的な運営ができるようになりました。

翌日に使用する料理は前日に冷蔵庫へ移動
右が冷凍、左が冷蔵、解凍の移動も簡単に行える設置に

地元の高級食材「常陸牛」をメインに扱えるように

もう一つ大きな変化は、常陸牛のような高級食材を扱えるようになったことです。この立地ではレストランの客数だけでは消費しきれず、以前はロスが出てしまうため扱うのが難しい食材でした。しかし現在は、カットして真空パックし急速冷凍することでロスがほぼゼロに。必要な分だけ解凍して使うため、在庫管理もしやすくなりました。さらに、まとめて仕入れることで仕入れ価格も抑えられます。例えば10kg単位で仕入れると単価が下がるのですが、通常の飲食店ではロスが怖くて仕入れられません。冷凍できるからこそ実現できる仕入れです。

冷凍を軸に新店舗とセントラルキッチン構想へ

ーーーー今後の展開を教えてください。

現在、水戸市の国道沿いに新しい店舗の出店を計画しています。A5ランクの常陸牛を使ったステーキ専門店で、価格は1800円程度を計画中です。一般的には3000円前後する高級肉ですが、冷凍による計画仕入れとロス削減によって1000円台で提供できると考えています。ちょっとした贅沢を、気軽に楽しめるお店です。

将来的には、この施設をセントラルキッチンとして活用し、ここで仕込んだ食材を冷凍して各店舗に配送する体制も検討しています。そうすれば物流や人材も効率的に活用でき、チェーン展開も視野に入ってきます。ステーキ店は熟練職人が必要というイメージがありますが、その常識を崩していく。冷凍とオペレーション設計を組み合わせることで、誰でも運営できる仕組みを作りたいと考えています。

冷凍技術で、飲食業の可能性を広げたい

急速冷凍を導入して感じたのは、飲食業はまだまだ可能性があるということ。これまでの飲食店は、どうしても料理人の技術や経験に依存する労働集約型のビジネスでした。しかし冷凍をうまく活用すれば、計画的に生産ができて、人に依存しすぎない運営ができるようになります。

また、ロスが減ることで高級食材も扱いやすくなり、メニューの幅も広がりました。結果として、お客様により良い料理を提供できるようになったと思います。今後は、この施設をセントラルキッチンのような役割にして、新しい店舗展開にもつなげていきたい。冷凍を活用した仕組みがあれば、オペレーションもシンプルになり、誰でも運営できる業態を作ることができるはずです。

飲食業は人手不足が大きな課題と言われていますが、冷凍技術をうまく取り入れることで、働き方やビジネスモデルそのものを変えていける可能性があります。そうした新しい形の飲食店を、これからも実践していきたいです。

プロフィール

  • 会社名:株式会社フードセンター
  • 代表:本間雄一郎
  • 所在地:茨城県笠間市
  • 事業内容:飲食業、旅館・宿泊業、不動産業
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