沖縄で40年にわたりマンゴーを栽培してきた山城フルーツ農園。一般冷凍による加工品づくりに早くから取り組みながらも、解凍時の品質低下という課題に直面していました。「味は美味しいのに、見た目だけで廃棄されてしまうマンゴーに価値をつけたい」という想いから導入したのが、デイブレイクのアートロックフリーザーでした。規格外品の有効活用、ふるさと納税での展開、そして将来の地域連携まで。冷凍技術を活用した展開や可能性について、山城フルーツ園の代表 山城辰哉様に伺いました。
ーーーー急速冷凍に興味を持たれたきっかけを教えてください。
10年ほど前から一般冷凍でマンゴーを加工し、フルーツパーラーへ卸していましたが、解凍時にドリップが出て食感や風味が大きく損なわれてしまうのが課題でした。半分ジュースになったような状態になり、とても冷凍マンゴーとして自信をもって消費者に届けられる品質ではなかった。一般冷凍での品質の限界を感じる中で、インターネットの記事をきっかけにアートロックフリーザーに関心を持ちました。
同時に、「規格外のマンゴーを廃棄するのは本当にもったいない」という思いもありました。味は美味しいのに、見た目が少し悪いという理由だけで販売できない。そうしたマンゴーに冷凍で新たな価値を与えられないか。その発想が、急速冷凍導入の後押しとなりました。3年前には、ものづくり補助金を活用。デイブレイクの補助金申請サポートを受けながら、規格外品の有効活用による食品ロス削減をテーマに事業計画を策定し、補助事業として採択されました。

ーーーー従来の冷凍との品質の違いはどの程度感じられましたか。
アートロックの場合、完全解凍しても美味しく食べられますが、やはりフレッシュと比べると劣る部分はあります。でも、半解凍で食べると本当に美味しい。マンゴーの風味や甘さ、香りがしっかり残っています。スプーンを入れると、シャーベットのような滑らかな口当たりとともに、濃厚な甘みが広がり、一般冷凍では出せなかった品質です。冷凍マンゴーを食べたいという声は以前からありましたが、導入前は品質面の不安から、消費者向け販売は控えていました。今は自信を持ってお届けできます。

現在、冷凍マンゴーの販売先は主にふるさと納税。ふるさと納税の年間販売額は約800万円(フレッシュを含む)です。全体の売上で見ると、まだ冷凍は1割程度が、非常に美味しいという評価をたくさんいただいています。


山城農園では、3種類のマンゴーを栽培しています。6月から8月にかけて収穫される赤いアップルマンゴー(アーウィン種)は、沖縄県内で9割以上を占める主力品種。さっぱりした香りが特徴です。7月から8月には、糖度20度を超えることもある希少な金蜜マンゴー。濃厚な甘さが魅力です。そして9月から10月初旬にかけては、緑色のキーツマンゴー。追熟型で、繊維が少なく滑らかな食感が特徴で、冷凍して一番美味しいと感じるのは、緑のマンゴーです。冷凍加工は、正規品をフレッシュ出荷し、規格外品をカットして凍結。加工用は冷蔵でストックし、週1回程度まとめて作業を行っています。冷凍なら完熟しすぎても大丈夫という安心感があります。収穫と並行して加工するので、大量生産はまだ難しいですね。



ハウス面積は約3000坪。春から秋はマンゴー、冬は柑橘類を栽培しています。自社ブランド「バレンタインスイートオレンジ」や沖縄特産のタンカンも手がけています。柑橘はまだ本格的な冷凍商品化はしていませんが、輪切りの冷凍をテストしているところです。
また、冷凍があることで、保存だけではなく、ジャムやフルーツピザなど、二次加工への展開も可能になります。将来的には農園内にカフェや立ち寄れる場所をつくりたい。観光客の方に来ていただいて、冷凍もフレッシュも楽しんでもらえたらと考えています。

沖縄には多くのマンゴー農家がありますが、急速冷凍機を導入できるのは比較的規模の大きい農園に限られます。3種類のマンゴーを冷凍商品化しているのは、おそらく沖縄で私だけです。将来的には、近隣農家から規格外品を買い取り、冷凍加工して販売する構想も描いています。今はうちも人手不足でそこまで手が回らないのが現状ですが、そうすることで、地域の農家さんに収益を還元できます。後継者不足は、地域の農園全体が抱える課題です。冷凍技術で高付加価値な商品をつくり、多角的に展開していくことの面白さに魅力を感じてくれる若い人が増えたら、地域への貢献にもつながると思います。
冷凍技術は、ロス削減の手段であり、販路拡大の武器になっています。人を惹きつける新しい農業の形を示せるように、少しずつですが、冷凍の事業も広げていきたいと思います。
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