熊本市街地に店を構える焼き鳥居酒屋「やきとり 和笑」は、冷凍焼き鳥の商品化を目的にアートロックフリーザーを導入。その後、EC販売だけでなく日々の店内営業を冷凍技術の活用で進化させてきました。導入から約3年、現場で積み重ねてきた工夫と成果について、店主の松本尚和様にお話を伺いました。
ーーーーアートロックフリーザー導入のきっかけを教えてください。
「やきとり 和笑」の味をそのまま再現した焼き鳥を店舗以外にも届けられないかと、持ち帰りやECといった新しい販売チャネルの開拓を考えたことがきっかけです。品川ショールームで実際に焼き鳥を冷凍して解凍後に食べてみたところ、食感や香りがしっかり残っていて驚きました。事業再構築補助金を活用して、約3年前にアートロックフリーザーを導入。冷凍商品の製造だけでなく店の営業そのものにも活かせないか、いろいろと研究しています。

ーーーー冷凍焼き鳥はどのように開発されたのですか。
まず、串打ちした鶏肉をスチームコンベンションで7〜8割ほど火を通し、その後に炭で軽く焼いて香りをつけ、すぐにアートロックフリーザーで急速冷凍しています。炭だけで焼いた焼き鳥をそのまま冷凍すると、どうしても肉質がパサついてしまいますが、スチコンで加熱すると、ふわっとした食感が出る。そのふわっと感をベースに、最後に炭の香りをまとわせる、という工程に、試作を重ねた結果行き着きました。冷凍後は1本ずつ小分けできる容器に入れて、70%ほどの真空をかけてパッケージ化しています。ECやふるさと納税は受注生産制で、注文が入ったら全国へ発送。食べ方もシンプルで、少し切り込みを入れて、電子レンジで500W・5分ほど温めるだけです。アートロックフリーザーで冷凍すると、ふわっとした食感や炭の香りが、解凍後も失われません。ECではセット販売が多い中、当店ではお店と同じ感覚で、1本ずつ好きな種類を選んでいただけるスタイルにしています。


ーーーーお店の営業では、どのように活用されていますか。
実は今、一番助かっているのは冷凍商品の販売よりも、店の営業に向けた仕込み・計画生産の部分です。例えば、天草名物のきびなご。小魚は鮮度が命なので、朝獲れたものにすぐ粉をつけて、そのまま急速冷凍します。大量に仕込んでおいて、注文が入ったら冷凍のまま揚げる。鮮度を保てるだけでなく、調理時間も大幅に短縮できます。保管期間は数日から1か月ほどです。
冷凍で定番化できただし巻き卵
ーーーー冷凍を活用した代表的なメニューを教えてください。
「だし巻き卵」は、冷凍の活用で定番化できた人気メニューです。店で一から作ると時間がかかるので、忙しい時にはなかなか出せませんでした。でも、注文したいお客様は多い。そこで、冷凍ストックに挑戦しました。だし巻きは、冷凍するとドリップが出たり、食感が悪くなりがちです。そこをクリアするためにレシピを研究。「プチドリップ」という凝固剤を使って、出汁を寒天のように固めています。一番出汁1,000mlに対してプチドリップを約60g、卵は30個。これで10本ほど巻けます。1時間以内に仕込んで冷凍・真空します。注文は1日3〜5本ほどなので、3日に1回、あるいは週1回の仕込みで十分回ります。冷凍を取り入れる前は、常連さんに頼まれた時だけ作っていましたが、今では定番メニューになりました。

豚足も人気です。下処理をして、香味野菜と一緒に圧力鍋にかけ、そのまま急速冷凍。提供時は湯煎するだけです。エビフライ、きびなごなどの揚げ物、煮物、だし巻き卵。湯煎や簡単な調理で出せるメニューが、冷凍機導入後に10品以上増えました。
品質やコスト面でも効果を感じています。例えば天草の車海老。おがくずに入った、まだ跳ねている状態のものをそのまま急速冷凍して冷凍のまま焼くと、発色がとてもきれいで、仕入れてから時間が経ったものと比較すると差は歴然です。和牛も同様。高級なので注文数は多くありませんが、2日ほど経つと色が変わってしまうため、仕入れたらすぐにカットして急速冷凍しています。また、100〜200円 / g価格が違う特売日があるので、その時にまとめて仕入れてストックすれば、コスト削減になります。高度な冷凍技術で鮮度が保たれるから実現できる、品質維持とコスト削減の両立です。
年末年始の営業でも、冷凍が欠かせません。普段は朝引きの鶏を仕入れていますが、年末年始は肉屋さんが休業しますよね。そこで、あらかじめ必要量を仕入れて急速冷凍し、1日分ずつ小分けして使う体制を整えました。年末年始は売上が良い時期なので、店を開けられるのは大きいです。冷凍がなかった頃は、氷詰めや真空など色々と試しましたが、品質に納得できず手間もかかっていました。今では、年末年始も安心して品質の良いものを提供できます。

ーーーー導入後の効果はいかがですか。
メニューが増えて商品力が上がったことが、確実に集客につながっています。客単価も上がり、売上は導入前に比べて年間約7%向上しました。人件費削減や働きやすさの面でも、冷凍の効果を実感しています。営業時は、ホール1人、調理は私と妻の2人。私が焼き鳥、妻が刺身や一品料理を担当しています。昨年、妻が産休に入った時期がありましたが、料理未経験のスタッフでも、「誰でも提供できる形」に仕込み済みの冷凍メニューがあることでスムーズに営業できました。


店舗とは別に、アートロックフリーザーとスチコンを置いた小さな加工場があり、そこでは営業に出ない社員が、朝9時から夕方5時まで仕込みを担当。私たちも忙しい時は手伝います。役割分担がはっきりして、無駄な時間がなくなりました。
ーーーー今後の展望を聞かせてください。
妻の故郷の天草には、水産品をはじめ美味しい食材がたくさんあります。そうした素材の魅力を、急速冷凍という技術を活用しながら、店内はもちろん、店の外でも届けていけたらと考えています。また、今後は、ECで販売している焼き鳥を小売向けに卸すことにも挑戦していきたい。惣菜業の営業資格も取得しているので、まずは近隣のスーパーなどから、少しずつ広げていくことが理想です。
だし巻き卵は、冷凍だとお伝えすると皆さん驚かれ、「いつでも食べられるようになって嬉しい」という声が多く寄せられています。お客様に喜んでいただけることこそが、アートロックフリーザーを導入して一番よかったと感じることです。これからも、お客様に満足していただける料理を届けながら、冷凍を軸に、和笑らしい新しい展開を広げていきたいと思います。
「やきとり 和笑」の冷凍焼き鳥をオンラインストアを通じて実際に購入してみました。電子レンジで温めて試食すると、冷凍・解凍したとは思えないほど、炭の香りがふわっと立ち上がります。焼き鳥特有の香ばしさがしっかりと感じられ、本格的な焼き鳥店で味わう串そのものでした。商品には、お店で使用している塩やタレも同梱されており、よりお店の味に近づける工夫が施されています。冷凍でありながら、炭の香りや食感までしっかりと再現されている。まさに「お店の味を届ける」が形になった商品です。


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