ホルモン製造販売を手がけ、北海道・旭川から全国へと展開する米谷産業。食品安全マネジメントの国際規格「FSSC22000」を取得し、海外へのアプローチも進めています。「品質を絶対に妥協しない」と方針を掲げる同社の製品は、今や全国・海外からも高い評価を獲得。そしてその品質を支えているのが、デイブレイクの「アートロックフリーザー」です。同社取締役の米谷侑治氏に、導入の経緯や効果、今後の展望を伺いました。
ーーーー事業展開について教えてください
米谷産業は、豚・牛ホルモンの加工・製造販売をしている会社です。製造構成は加工製品が約4割で、10kgのバルク製品、カットした1kg/2kgのパック製品など業務用製品が6割。スーパーや飲食店が主力の販売先です。
北海道グルメとして親しまれる旭川発祥「塩ホルモン」の専門店で、最も認知度が高い「炭や」の小売店向け商品の開発・製造も手掛けています。道内スーパーのほか、ECや全国で開催される北海道物産展や催事でも販売され、売り切れが続出する人気商品です。

今年10月には、香港での販売が決まりました。看板商品の「炭や」シリーズの塩ホルモン、豚トロ、豚ハラミと「キムチホルモン」を、現地で開催される北海道フェアで販売します。原料としての輸出実績は6年前にありましたが、コロナの規制強化で取引が停止。海外展開は6年ぶりで、加工製品の販売は初めてです。
ーーーー毎日の製造体制について教えてください
毎日400〜500頭分(12〜15kg)のフレッシュな内臓を入荷します。それを6つの工場で振り分けて加工し、焼肉店やスーパーに提供。ホルモンの加工は洗浄や脱水、温度管理、菌数管理など、高度な技術が必要です。最近はそうした専門技術や手間をかけてバックヤードで加工する現場は減り、カット済みの規格品を仕入れるケースが増えています。

ーーーー製造製品のうち、冷凍加工の割合はどれほどですか
鮮度劣化が早いホルモンは冷凍での流通が主流で、仕入れの9割は冷凍加工しています。チルドで流通させられるのは市内・道内の焼肉店だけです。加工を担う6工場には急速冷凍機や冷凍保管庫を設置しており、液体凍結、空気凍結など複数の方式があります。その中の一つがアートロックフリーザーです。
ーーーーアートロックを導入された理由を教えてください
より美味しい製品を作るために導入しました。米谷産業は品質向上への投資は惜しまず、これまでも液体凍結や空気凍結など様々な技術を試し、活用しています。アートロックで凍結したホルモンを試食した際、想像を超える旨みと甘みに驚いて、導入を即決しました。導入後、お客様から「甘みが出たね、ホルモンてこんなに甘かったんだ」と言っていただく機会があり、「本当にその通り」と私自身も共感したくらいです。品質の追求という点で、迷う理由がありませんでした。
ーーーーアートロックを活用した製造オペレーションは、どのようにされていますか
旭川南工場(第一工場)では、1日に3,000〜4,000パック(およそ1トン)をアートロックで凍結しています。稼働時間は9時から15時までの6時間。看板商品の「炭やの塩ホルモン」をはじめ、消費者の手元に届く加工製品や焼肉店向けなど、特に品質にこだわりたい製品の凍結に活用しています。

ーーーー導入後、品質の変化はありましたか
解凍時のドリップがほとんど出なくなりました。以前は急速冷凍でも若干ドリップがありましたが、アートロックで凍結したホルモンは、解凍してパックに入れた時にドリップがほぼ無く、細胞が壊れていないことが見てわかりました。肉質は柔らかく、色も良くなった印象です。また、解凍が速いことも助かっています。他の冷凍機で凍結した製品と比較すると、解凍時間が半分くらいに短縮されました。流水で素早く溶けて、味も損なわれない。特に白モノのホルモンはドリップが出やすく、洗浄や脱水の工程でも水分が多少抜けてしまいます。アートロックなら旨味や甘味を保てるので、焼いて食べた時の味わいが格段に向上しました。

ーーーーお客様からの反応はどうですか
「冷凍はダメ」と言っていた焼肉店も、実際に使ってみて「こっちの方がいい」と考えを変え始めています。生で提供する場合、2、3日経つと臭いや硬さが出てきますが、アートロックならフレッシュな品質を維持できる。スーパーからも、「チルドより冷凍の方が、売りたい時に売れるので扱いやすい」という声をいただいています。もともと食感が硬い小腸を使った製品は、従来の冷凍ではさらに硬くなり、お客様から指摘されることもありました。アートロックを使い始めてから、生に近いつるんとした食感を実現できるようになり、売上も好調です。
価格競争よりも「品質を守ること」が信頼につながるので、米谷産業は、多少コストが上がっても「品質」を選びます。以前、「炭やの塩ホルモン」の原料産地の変更を検討したことがありました。これまで使用していたアメリカ産を継続すると売価が50円上がり、スペイン産に切り替えれば現行価格を維持できる、という条件のもとで食べ比べを実施。その結果、全員が「アメリカ産の方が美味しい」と評価したため、品質を優先してアメリカ産を採用し、価格交渉を行うという結論に至りました。原料調達においても、他社では扱えない原料を海外から直接仕入れ、実際に試作を重ねたうえで、味付けとの相性や品質の安定性を見極めて選定しています。それくらいこだわりを持って取り組み、品質を軸にしたものづくりの姿勢を貫いてきたからこそ、今の信頼関係が築けているのだと思います。

ーーーーアートロックフリーザー導入による売上の成果はありますか
アートロックを導入して品質が向上したことで、職人気質の方々にも認められ、飲食店向けの業務用卸が決まりやすくなりました。同じようなカット済みホルモンを扱う会社は本州にも多くありますが、多少物流コストがかかっても「美味しいもの」が選ばれています。たとえば1kgパックで200円の差があっても、一食(約80g)あたりの差は16円程度。そこまで大きな差ではありません。それであれば、「少し高くてもより品質の良い商品を出そう」という考えのもと、取引先は着実に増えていきました。もちろん、評価の理由は冷凍技術だけではありません。洗浄やカットなど各工程において品質を磨き続けた結果です。
2024年度の売上は21億円で、前年比103%。大幅な伸びではないものの、品質が上がったことによる既存顧客からの信頼向上と新規取引の増加が、この数パーセントの成長を支えていると感じています。
ーーーー今後の展望を教えてください
現在はホルモンが主力ですが、今後は北海道の旬の食材をアートロックで凍結し、全国、そして海外へ流通させたいと考えています。畜産に限らず、水産物や野菜など、あらゆる食材を高品質に冷凍できれば、最適な時期に供給できます。
海外への展開は、旭川市の経済交流課や札幌財団、地元企業が連携してアジア市場への開拓を進めており、私自身も旭川市とともに商談を重ねてきました。10月に香港で開催される北海道フェアもその成果の一つです。畜産物は特に、輸出入の規制や国ごとのルールが厳しく、今後も課題となる部分はありますが、私たちは「ものづくり」に強みがあります。現地の企業と協力し、その国で製造・流通させるといった新しい形も視野に入れています。
北海道のブランド力は非常に高く、海外でも「北海道産=美味しい」というイメージが確立されています。その信頼と品質を武器に、北海道ブランドを世界へ広げていきたいです。

アートロックを導入して良かったのは、冷凍でありながら鮮度や旨味を損なわず、職人やお客様に満足いただける品質を届けられるようになったことです。品質第一を貫く米谷産業の姿勢を、アートロックが支えてくれています。そのおかげで、お客様からの信頼がさらに高まり、取引の拡大という成果も着実に生まれています。
ホルモン製造販売を手がけ、北海道・旭川から全国へと展開する米谷産業。食品安全マネジメントの国際規格「FSSC22000」を取得し、海外へのアプローチも進めています。「品質を絶対に妥協しない」と方針を掲げる同社の製品は、今 […]
富山県朝日町の港町で、漁師として第二の人生を歩む「聖徳丸」代表徳田聖一郎氏。元会社員から漁師へ転身し、漁獲・加工・販売まで手掛けています。昨年アートロックフリーザーを導入し、従来は生やボイル中心だったカニ販売を、品質を保 […]
江戸時代から続く老舗・九重味淋がアートロックフリーザーを導入してから約3年、総菜、スイーツ、OEMまで多角的に事業を拡大しています。今年は念願の「冷凍おせち」を発売し、予約は即完売。老舗のみりん蔵が、なぜ冷凍に踏み込んだ […]