1日に3万食の弁当を製造・出荷する株式会社浜の家。給食や惣菜を手がける中で、同社は新規事業の開拓を目的に急速冷凍機「アートロックフリーザー」を新たに導入しました。4台の冷凍機を設置し、冷却・冷凍と多用途で稼働する設備として活躍しています。既存事業の強みを活かしながら、新規事業や商品開発にも果敢に取り組む浜の家の柔軟な活用法と冷凍食品事業への展望を、代表取締役 金城 良氏に伺いました。
ーーーーアートロックフリーザーをどのように活用されていますか
導入してから2ヶ月くらいですが、大変重宝しています。例えば冷凍弁当は、おかず部分を冷凍して計画生産。揚げたてのコロッケをそのまま急速冷凍することもあります。
チラー(冷却)にも活用しており、現状はチラーとしての用途の方が多いです。ここ1年で始まった事業の一つとして、高齢者施設向けにチルド惣菜を届けています。元々は冷凍で数日分をまとめて届ける想定でしたが、近距離に毎日大量に届けるため、冷凍でストックするより毎日作って出荷する方が効率的だと判断。製造量とエリアの条件から、チルド輸送を選択しました。
この惣菜パックを製造する際、調理後に3℃以下まで食品の温度を下げる必要があり、その冷却にアートロックフリーザーを活用しています。以前は別の冷却設備を使っていましたが、盛り込み時に温度が上がってしまうのが課題でした。その点、アートロックフリーザーは盛り付け場のすぐ近くに設置されているため導線もスムーズで、冷却時間も約30分で3℃まで下がるので大変便利です。冷凍機の庫内温度は−40℃に設定し、食品が3℃くらいになるまでの時間を逆算して出し入れしています。
チラーとしての使用と冷凍弁当など冷凍商品製造を合わせて、1日に約2,000食分の製造にアートロックフリーザーを活用しています。製造スタッフは12人ほど。冷凍弁当の需要はさらに伸びていくと期待していますし、惣菜の納品エリアが広がれば、冷凍機が活躍するシーンはますます増えていくでしょう。
ーーーー導入いただいた4台の冷凍機をどのように使い分けているのですか
全部同じ場所にまとめて置いて、時間ごとに用途を分けて使ってます。午前中は2台の冷凍機を高齢者施設用惣菜のチラーに使用し、夕方からは冷凍弁当用の製造といったサイクルで、稼働させない時間も空けながらローテーションしてます。冷凍を活用した新規事業を検討しており様々な用途が発生するため、1台の大型機を入れるより、小型機を複数に分けて導入したのは正解でした。
また、全てを芯まで凍らせるのではなく、3割程度をアートロックフリーザーで急速冷凍し、プレハブ保管庫に移す場合もあります。品質に影響が出ない食品はそうすることでオペレーションの短縮に繋がります。
ーーーー今後の冷凍を活用した展望について教えてください。
色々とアイデアがありますが、まずは冷凍ピザ。去年閉店した近所のイタリアンのお店を買い取り、そこの石窯ピザを急速冷凍するととても美味しくお店の味を再現できました。今後はそのお店のレシピを応用してピザを製造し、冷凍して家庭用や業務用で展開したいと考えています。
もう一つは透析患者向けの食事。専門栄養士と一緒にレシピを作り、セットにしたものを病院に卸すイメージです。通院と通院の間の期間中、数食でも透析用の食事に置き換えられたら、少しでも症状悪化の抑制に繋がるかもしれません。そうすれば、患者さんにとっても病院にとっても嬉しいと思います。
あとは「寿司」。昔は寿司職人を目指して5年ほど板前修行をしていたので、魚屋さんや卸と組んで、冷凍寿司に本格的にチャレンジしたいです。大阪の寿司は甘めのシャリで、江戸前寿司とはまた異なります。冷凍技術を活かして、生まれ育った大阪の寿司のテイストで展開したいと考えています。
ーーーー御社ならではの強みはどういったところですか
うちは毎日3万食の弁当を製造していて、そこまでの製造規模を持っている工場は関西で多くありません。弁当用の食材が毎日大量に必要なので、メーカーから直接、低価格で仕入れられます。冷凍食品を新たに始めても、既存の流通基盤がそのまま使えるのは大きいです。
例えば、コンビニ用に作られた調味料がモデルチェンジで余ったとすると、それをうちで弁当や冷凍食品に使用できます。そうすると、メーカーにとっても廃棄コストが減るし、食品ロス削減につながる。お米は他の食材とはルートが異なりますが、比較的先に手を打てる立場です。実際に、仕入れ難に直面し、製造を継続できない会社から依頼が来るケースが増えています。
ーーーー冷凍事業へのスタンスについてお聞かせください。
うちはもともと人材や生産能力に不安はなく、確かな基盤があります。そこに冷凍という新しい武器を加えることで、これまで実現できなかった商品や、届けられなかった地域・市場へ挑戦できるようになりました。ピザや透析食、寿司といった新しいカテゴリはその第一歩です。これからは基幹事業の強固な土台と冷凍技術を掛け合わせ、冷凍がもたらす可能性を最大限に引き出し、お客様のニーズや社会課題に応える商品を提供していきたいと思っています。
1日に3万食の弁当を製造・出荷する株式会社浜の家。給食や惣菜を手がける中で、同社は新規事業の開拓を目的に急速冷凍機「アートロックフリーザー」を新たに導入しました。4台の冷凍機を設置し、冷却・冷凍と多用途で稼働する設備とし […]
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