2025.08.25 導入事例

お団子のできたて食感を再現!伝統の味を守り、新市場を開拓。坂東太郎グループ老舗和菓子ブランド「蛸屋」の挑戦

創業62年、元禄11年からの歴史を持つ、坂東太郎グループの和菓子ブランド「御菓子司 蛸屋」。地域の人々に愛されてきた団子や大福、四季折々の和菓子を手掛ける同店は、出来立ての美味しさを守りながら販路を広げるため、新たにアートロックフリーザーを導入しました。従来の冷凍では避けられなかった「食感の劣化」という課題をどう乗り越え、働く環境や商品展開においてどのような変化を目指すのか。導入背景から今後の展望までを株式会社蛸屋 代表取締役社長 上村信夫様、工場長の山口浩様に伺いました。

出来立ての美味しさを保ちながら、販路を拡大したい

ーーーーアートロックフリーザーを導入しようと思われたきっかけを教えてください

出来立ての美味しさを保ったまま販売エリアを広げることが一番の目的です。朝に仕上げるお餅やお団子、大福などの「朝生商品」は、賞味期限が1〜2日。できれば当日に食べて欲しいものばかり。日持ちせず、展開エリアには限界がありました。冷凍で長持ちさせようとしても、一般的な冷凍を経た団子は硬くなり、伸びもなくなる。歯型がつきそうなほどの食感の悪化に悩まされていました。「工場で出来立てを食べると本当に美味しい。でも従来の冷凍では別物になってしまう」だからこそ、出来立てと変わらない味を再現できる高度な冷凍技術が必要だと考え、アートロックフリーザーを導入しました。

季節商品の製造効率や働きやすさの向上にも期待

季節商品の草餅や桜餅、柏餅など、1日の製造量が多い一部の和菓子には、以前から冷凍を活用していました。とりわけ桜餅はシーズン中に5万個を製造し、葉包みも全て手作業です。これまでの冷凍方法では凍結に時間がかかり、品質保持も十分ではありませんでした。

また、朝に商品を出荷するために、従業員が夜中から朝にかけて働くこともあります。冷凍を活用して製造時間を柔軟に分散できれば、深夜作業を減らせる可能性がある。鮮度維持にとどまらず、従業員の働きやすさを生み出すツールとしても冷凍に期待しました。

「のどごし」が自慢の名物団子、冷凍しても出来立ての食感を再現!

ーーーー現在はどのように冷凍機を活用されていますか

現在は、看板商品の「のどごし団子」冷凍がメインです。独特の「のどごし」感が自慢の団子を、冷凍 / 解凍した時に出来立ての食感を再現できて、私たち自身も驚きました。現在は、1日4,000本作るうち、半分を冷凍、半分を生で出荷しています。フランス天板1枚に40本を並べ、8枚(1回の凍結で冷凍機に入れるフランス天板の枚数)で320本を約40分で凍結。冷凍した和菓子は、冷凍のまま坂東太郎グループの店舗や小売店、サービスエリアに出荷しています。

「のどごし団子」のほかにも、赤飯の冷凍も徐々に進行しています。水分量などを調整しないと、解凍した時に「蛸屋」の出来立てを再現できません。冷凍専用のレシピづくりも、新しい挑戦です。

和菓子業界にとって繁忙期は、春のお彼岸やひな祭り、夏のお中元、秋の月見、冬のお歳暮など、四季折々に訪れます。その度に人手確保や賞味期限の短さが課題でした。添加物はなるべく入れたくないので、冷凍で自然な形で日持ちを伸ばせることが理想です。現在はのどごし団子と赤飯で成果を得ており、今後はおはぎや紅白餅、一升餅などの冷凍にも挑戦していきたいと考えています。

遠方展開と機会損失の低減する冷凍の価値

ーーーー冷凍活用でどのような効果を期待していますか

これまでは賞味期限が数日の商品をチルドで輸送していたため、出荷エリアに限界がありました。出来立ての美味しさを保ったまま遠方まで届けられるのは、お店にとって画期的なことです。坂東太郎グループ約80店舗へ毎日安定供給が実現すれば、事業は安定と成長の両面で大きく進化していきます。さらに、冷凍ストックがあれば大口注文にも即応が可能。売り切れによる機会損失も防げます。職人しか作れない上生菓子も、冷凍があれば販売店舗を広げられるかもしれません。現在は「のどごし団子」4000本 / 日の半分を冷凍するオペレーションですが、今後は6000個、8000個と冷凍商品の製造量を増やしていきたいです。

坂東太郎グループ内での冷凍の広がり

和菓子だけでなく、坂東太郎グループで冷凍の活用が視野に入っています。例えば、「ばんどう太郎」では、名物料理の味噌煮込みうどんの冷凍商品化を検討中です。また、グループ内には出汁やチャーシューを作る工場、さらには農業部門もあり、いちごなどのフルーツも冷凍で挑戦できるかもしれません。

日本を代表する和菓子店

ーーーー今後の展望をお聞かせください

私たちは地域の和菓子屋にとどまらず、日本を代表する和菓子店を目指しています。和菓子を起点に地域を元気にしたい。また、和菓子の美味しさと文化を広げ、和菓子業界全体の活性化にも挑戦していきます。

美味しく冷凍できれば、もっと多くの店舗や地域に展開できます。和菓子文化は少しずつ縮小傾向にありますが、和菓子は本来、美味しくて体にも優しい食べ物です。その魅力をもっと広めるために、出来立ての美味しさを体験していただきたい。冷凍の力を借りて品質を守りながら、積極的に展開を進めたいと思っています。

また、和菓子作りは高度な技術を要し、職人の数が限られているのも現状です。冷凍を活用することで、職人がつくった繊細な菓子をストックし、より多くの店舗に届けられるようになれば、技術継承や次世代への橋渡しにも繋がります。若い世代にとっても和菓子が身近な存在であり続けてほしい。伝統を守るだけでなく、次世代へ和菓子文化を受け継いでいく取り組みにしていきたいです。

プロフィール

  • 会社名:株式会社蛸屋(坂東太郎グループ)
  • 代表者:代表取締役社長 上村信夫
  • 所在:栃木県小山市
  • 事業内容:和菓子の製造・販売
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