2025.08.19 導入事例

少人数・省スペースでサービスを最大化。冷凍とセントラルキッチンが支える飲食業の効率経営

神戸を拠点に、ローストビーフ専門店やカツ丼屋をはじめとする多彩な業態を展開するR&B守破離。セントラルキッチンから全店舗へ食材を供給する同社は、品質・効率・人材不足解消を目的にアートロックフリーザーを導入しました。急速冷凍による品質保持や作業効率の向上が、店舗運営や新メニュー開発にどのような影響を与えているのか。その導入背景と今後の展望を精肉部責任者の三浦貴博様に伺いました。

多業態展開を支えるセントラルキッチンの役割

ーーーー御社が展開する業態について教えてください

ローストビーフのお店をはじめ、カツ丼屋、スタンドのバー、中華、大衆居酒屋など、幅広い業態を展開しています。これらの多業態を支えるのが、神戸にある工場(セントラルキッチン)です。兵庫県内にCKが2つあり、ここでは肉の加工、もう一つのCKではタレやドレッシング、キャベツの千切り、パスタソース、ポテトサラダなどの惣菜などを調理。お店では仕上げと盛り付けだけの状態までCKで調理し、現時点ではチルドで全店舗へ配送しています。

冷凍機導入の決め手は「スピード」と「品質」

ーーーーアートロックフリーザーを導入された背景を教えてください

複数の業態で神戸牛を扱っており、もともと冷凍は使っていましたが、従来の方法では時間がかかり、大量生産が難しいという課題がありました。アートロックフリーザーを活用することによる凍結時間の短縮と効率化が導入の目的です。製造量やスピードはもちろん、品質の面でも、普通の冷凍と比較してドリップが圧倒的に少ない。生への再現性の高さも決め手になりました。

パン粉が飛ばない、潰れない。揚げ物にも最適

ーーーーどのような工程で活用されていますか

まずはステーキ用の牛肉を主とした肉の保存・流通です。日々変動する店舗からの注文量に対して、ロスを出さず安定的に供給するために、仕入れた肉を冷凍してストックし、注文量に応じて各店舗へ送っています。また、カツ丼業態で使用する、「揚げる前のとんかつ」の冷凍も徐々にスタートしています。アートロックはビュービュー風を当てて凍らせる構造ではないので、パン粉が飛びません。強い風をあてるとパン粉が飛んでしまい、アルコール凍結はパン粉が潰れてしまう。その点アートロックフリーザーは、パン粉をつけたてのふんわりした状態を維持できるので助かっています。

店舗オペレーション改革が人材確保につながる

ーーーー急速冷凍を活用したオペレーションを採用することによって、どのような効果を期待していますか

人件費と食品ロス、管理工数の削減ですね。例えば先ほどお伝えしたとんかつは、近隣の店舗以外はパン粉をつけずにチルドで輸送しており、現地でパン粉をつける工程に手間がかかっていました。また、神戸のカウンター10席ほどのお店では、調理スペースが足りず、そもそもパン粉付け作業ができません。そのため、CKでパン粉をつけた状態まで仕込み、チルド輸送しています。もし全てパン粉付きのものを冷凍できれば、キッチンにはフライヤーとガスだけで営業でき、省スペースの多店舗展開が可能になります。いずれフランチャイズ化していく時には、CKで製造し、冷凍で各店舗へ配送することを想定しています。

店舗での工程を減らせば、省スペース化と同時に、働きやすさにも繋がります。飲食業は人手不足が深刻で、開けられるはずのお店が人がいないから営業できないことも多い。限られた人員で安定的に質の高いサービスを提供するためには、職人の感覚に頼るのではなく、誰がやっても美味しいものが作れるようにマニュアル化された体制が理想的です。また、従業員は、ずっと忙しくても、退屈すぎても長続きしません。時間にメリハリのある職場の方が定着率は高い。冷凍を活用した計画生産でバランスのとれた働きやすい環境を提供できれば、人が辞めない環境づくりにも繋がると期待しています。

神戸のカツ丼屋では、若いアルバイトスタッフが試行錯誤を重ねながら、理想の店づくりに励んでくれています。より良い営業バランスを保つためにも、店舗での工程を少しでも簡略化し、彼らの負担を減らすことで、日々の努力に少しでも貢献したいです。

効率化で製造量は倍増。冷凍だからできる個別対応と新メニュー開発

ーーーー導入後、改善された点はありますか

同じ時間で製造できる量が倍になっています。時間短縮によって人件費も抑えれ、今まで手が回らなかった業務にも取り組めるようになりました。冷凍庫の能力もまだ余裕があるので、今後はパン粉付けとんかつの量産やその他のメニューの冷凍にも挑戦したいです。

また、同じ牛肉を使用したメニューでも店舗ごとに調理法が異なり、火の入れ方が変わります。以前は店舗からの細かなオーダーには対応できませんでしたが、凍結時間が短くなり効率化できたことで、厚み調整など個別対応が可能になりました。その結果、薄切り肉を活かしたすき焼きを新メニューとして始めた店舗もあります。

ーーーー今後の展望を聞かせてください

セントラルキッチンでの製造力をさらに高め、冷凍を活用した効率的かつサービスの質が高い店舗運営を実現したいです。人材不足の中でも、誰でも美味しい料理を提供できる環境をつくり、より多くのお客様に豊かな食体験を届けていきます。

プロフィール

  • 会社名:有限会社アール.アンド.ビー守破離
  • 代表者:代表取締役 増田 昭
  • 所在:兵庫県神戸市
  • 事業内容:飲食店経営